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相続が発生したら預金は引き出せるのか?

2022.05.01

普段の相続相談でも相続発生後の預金の引出しに関してご質問を受けることが多々あります。
本来、相続が発生した場合には、遺産分割の対象に預金が含まれる場合、相続開始後に金融機関の預金口座が凍結されます。

ただし相続預金の払戻し制度を使えば一部引き出しが可能です。
遺産としての預金の取り扱いや注意点、必要な手続きについてお話をします。

預金口座は相続開始後に凍結される
預金口座の名義人が亡くなって相続が開始した場合、遺産分割協議を行って誰が預金を相続するのかが決まるまでの間、預金は誰の財産になるか決まっていません。
例えばキャッシュカードと暗証番号が分れば現金を引き出すことは可能です。
ただ、法律上は、相続開始後に他の相続人の同意を得ずに、遺産を勝手に使う行為は様々な問題の原因となるので注意が必要です。
金融機関としては預金を相続する人が決まるまでは取引に応じるべきではないため、相続開始後に預金口座は凍結されて取引ができなくなります。

預金口座が凍結されるタイミングですが、口座凍結が行われるのは金融機関が口座名義人の死亡を知ったときです。
あくまで金融機関が知ったときなので、口座名義人が亡くなると自動的にすぐに凍結されるわけではありません。
たとえば、遺族が金融機関に「家族が亡くなって相続が開始したから預金残高を知りたい」と連絡したときなどに、金融機関が相続の開始を知ることになります。
また、自治体に死亡届を提出すると金融機関にも亡くなったことの情報が行くのではないかと考える人がいますが、そのようなことはありません。
一般的には、口座名義人の死亡を遺族が金融機関に伝えたときに、金融機関がその人の死亡を初めて知って口座が凍結されます。

凍結された預金を引き出す方法
凍結された預金を引き出すための方法は下記の通りです。今回は、遺産分割前に利用できる、3と4を詳しく説明します。

1、遺言
2、遺産分割協議
3、預貯金の仮払い制度
4、預貯金債権の仮分割の仮処分

預金の仮払い制度 
遺産分割前の相続預金の払戻し制度と呼ばれる制度で、2019年7月から始まった制度です。相続開始後にはお葬式の費用など多くの費用がかかり、預金の払戻しを受けられないと残された家族が困ることも確かです。こういった不都合を解消するため、法定相続人は、一定額までは預金の払戻しを受けることができるようになっています。

払戻しを受けられる金額   
相続人が金融機関から払戻しを受けられる金額には、上限があります。あくまで、生活費や葬式費用など必要な資金を引き出すのが目的の制度なので、いくらでも引き出せるわけではありません。
払戻しを受けられる金額の上限は、以下の式で計算した金額です。

・払い戻しの金額の上限=「相続開始時の預金額」×1/3×「払戻しを行う相続人の法定相続分」

例えば・・・
相続人が長男、次男の2名で、相続開始時の預金額が 1口座の普通預金600万円であった場合、長男が単独で払戻しができる額=600万円×1/3×1/2=100万円。
ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)から受けられる払戻しの上限額は150万円です。

払戻し制度を利用する際の必要書類
遺産分割協議前の相続預金の払戻し制度を利用するには、手続きの際に主に以下の書類が必要です。

・本人確認書類
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金の払い戻しを希望する相続人の印鑑証明書

ただし、金融機関によって手続き書類が異なる場合があります。手続き書類の種類や手続きの流れは、事前に金融機関に確認してください。
また、上記の書類すべてを取り揃えるには手間と時間がかかります。
手続き書類を揃えるのに時間がかかると預金の払戻しを受けるまでに時間がかかり、相続人の生活費が不足して困ることにもなりかねません。
そのため、遺産相続で必要な書類の取得は専門家に相談・依頼してすべて任せても良いでしょう。

 

預金債権の仮分割の仮処分
遺産分割前の相続預金を引き出す方法としては、「預金債権の仮分割の仮処分」という制度もあります。

申立て方法
申立人は、遺産分割の調停または審判の申立人またはその相手方です。
また、預金債権の仮分割の仮処分の相手方は、申立人以外の遺産分割の調停または審判の当事者全員です。
申立て先は管轄の裁判所で本案の審判または調停事件の係属する家庭裁判所が管轄します。
本案の審判事件が高等裁判所に係属するときは、その高等裁判所が管轄します。

また、申立てには以下の要件を踏まえていることが大切です。

要件                                         
1.遺産分割の調停または審判の申立てがされていること
2.相続債務の弁済や相続人の生活費などの必要性があること
3.他の相続人の利益を害しないこと

相続発生後は他にも諸々手続きが多く大変なことが多くあります。実際に利用する場合は、専門家に相談・依頼して任せた方が良いでしょう。

相続が発生すると被相続人の預金の払戻をするのは大変です。葬儀費用や実家の家財道具の跡片付けや処分費用など一時的にそれら費用を相続人が立替なくてはいけないかもしれません。しかし、そんな時に即現金を受取る方法があります。それは「生命保険金」です。

生命保険金は即、現金化できます。
預金の仮払い制度では、払戻しを受けられる金額の上限が150万円ですが、生命保険金は受取れる金額に上限はありません。
保険契約時に決めた保険金額を受取人が受取れます。
また、預金債権の仮分割の仮処分も払戻を受けるために、家庭裁判所や高等裁判所へ申立てなど手続きが大変ですが、生命保険は保険契約上で保険金受取人と指定された者が単独で保険会社に請求できます。
また、遺産分割のように、他の相続人の合意や署名・印鑑は一切必要としません。
そして、請求書類の不備等がなければ、数日~1週間程度で指定した口座に保険金が振り込まれ、受取人はこれを自由に使うことができます。
そのため、当座の資金の確保のために保険を準備しておくという方が増えているのも、こういった理由からです。
現金の一部を生命保険に替えていざと言う時の資金準備をしておくことも大切です。

おわりに
生前に家族間で話合いを通して準備をしておくことが大切です。
どのような準備が必要か不明なことがあれば当社へお気軽にご相談ください。

筆者紹介

杉山 健太郎
福岡相続サポートセンター
上級相続支援コンサルタント

上級相続支援コンサルタント、トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)として、税理士、司法書士、弁護士など各種専門家と連携し様々な相続問題の解決に向けてお手伝い。「相続」が「争族」にならない様に問題解決のコーディネータとして日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな問題解決、アドバスを提供できる様に心がけていますので、お気軽にご相談ください。

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